『サレタガワのブルー』——裏切られた側の感情を、ここまで丁寧に描いた漫画はない
「読んだら必ず不倫したくなくなる」と評され、配信元で累計3億PVを超えたと紹介される話題作があります。セモトちかさんの『サレタガワのブルー』です。
どんな話?
主人公は、デザイナーとして働く愛妻家の夫・暢(のぶ)。妻の藍子を心から大切にしてきた彼が、ある日、妻の不倫に気づいてしまいます。
タイトルの「サレタガワ」は、そのまま「(不倫を)された側」のこと。この作品の主役は、不倫する側のスリルでも恋の高揚でもなく、裏切られた側の視界です。信じていた日常が崩れる音、それでも朝は来てしまう理不尽さ、そして「このまま泣き寝入りはしない」と決めた人間の静かな行動力。暢は感情のままに暴れるのではなく、悩み抜いた末に、周到に復讐へと動き出します。
集英社のマンガアプリ「マンガMee」で2018年から2022年まで連載され、単行本は全15巻で完結。2021年には犬飼貴丈さん・堀未央奈さん主演でドラマ化もされました。
この漫画が「効く」人
- パートナーの裏切りに傷ついた経験があり、「やられた側」の感情を代弁してほしい人
- 復讐ものが好きだけど、荒唐無稽な展開より現実的な積み上げを読みたい人
- 「泣き寝入りしない主人公」を見て、胸のつかえを下ろしたい人
サレた側の心理描写があまりにも解像度が高いので、渦中にいる人は読んでいて苦しくなる場面もあると思います。ただ、その苦しさの先に「自分の感情はおかしくなかったんだ」という妙な安心感が待っているのが、この作品の不思議なところです。
ひとこと処方箋
痛みを描いた物語は、ときに絆創膏より効きます。「怒っていいんだ」と誰かに言ってほしい夜に、静かに背中を支えてくれる一作です。完結済みなので、結末まで一気に読めるのも嬉しいポイント。